〇 「ユネスコ公共図書館宣言 1994年」について (2)

2016.05.19 Thursday

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    〇 「ユネスコ公共図書館宣言  1994年」について(2)
     
                                                                      2016. 5.19  薬袋秀樹
     
      「ユネスコ公共図書館宣言  1994年」には、もうひとつの特徴があります。私は、次のように

    理解しています。それは、公共図書館が存在する前提として、「社会の在り方」が先にあり、自

    由で民主的な社会が想定されていることです。
     「宣言」の冒頭では、次のように述べています。
                                        
          社会と個人の自由、繁栄および発展は人間にとっての基本的価値である。このことは、十

        分に情報を得ている市民が、その民主的権利を行使し、社会において積極的な役割を果たす

        能力によって、はじめて達成される。建設的に参加して民主主義を発展させることは、十分

        な教育が受けられ、知識、思想、文化および情報に自由かつ無制限に接し得ることにかかっ

        ている。
       (中略)
          この宣言は、公共図書館が教育、文化、情報の活力であり、男女の心の中に平和と精神的

        な幸福を育成するための必須の機関である、というユネスコの信念を表明するものである。
     
      私は、この文章は、公共図書館の存在の前提として、あるべき社会像が存在し、公共図書館は

    それを実現するための手段であることを示していると思います。あるべき社会とは、「社会と個

    人」が「自由」で、「繁栄」「発展」する「平和」な社会です。

      そのためには、市民が「民主的権利を行使し、社会において積極的な役割を果た」し、「建設

    的に参加して民主主義を発展させる」ことが必要で、それが可能である必要があります。そして、

    市民はそれに必要な“十分な情報”を得る必要があります。
      「個人および社会集団の生涯学習,独自の意思決定および文化的発展のための基本的条件を提

    供する」という公共図書館の使命はここから生じていると思います。
     
      社会よりも図書館が先に存在するのではなく、また、図書館だけがよければよいのではなく、

    よい社会、民主的な社会、繁栄し発展する社会を作ることが目的であり、公共図書館の役割はそ

    れを支えることであることを指摘していると考えています。
      (以上)