〇 英国の公共貸与権(公貸権)について−新聞記事から−

2016.08.29 Monday

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    〇 英国の公共貸与権(公貸権)について−新聞記事から−
    
    
                                     2016.8.29 薬袋秀樹

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     今年の6月15日、ドイツの公貸権が『朝日新聞』で紹介されましたが、これ以前にも、海外

    の公貸権事情が新聞記事で紹介されているのを見つけました。その要点を紹介したいと思いま

    す。

     記事は、「文化は誰のもの 第2部 英米の模索 下 図書館の攻防 公共性と著作権で火

    花」(『朝日新聞』2003.9.18(木)34面)です。署名は加藤修記者です。

     

     「英国では図書館で本が1回借り出されるごとに、作家にお金が入る。今年は1万9064人に

    合計620万ポンド(約12億円)が支払われた。1回当たり 4・12ペンス(約8円)の計算となる。

     日本でも導入の議論が始まった公共貸与権のシステムに基づく支払いだ。国が予算を出し、

    支払い額は毎年変わる。支払いの上限は1人当たり 6千ポンド(約110万円)で、今年は約250

    人が該当した。有名なベストセラー作家ばかりではなく、児童文学者も多い」 

     

     英国公共貸与権センターの責任者のジム・パーカーさんは「作家の生活を助けるだけでなく、

    詳細な貸し出しデータが集まるために図書館の書籍購入のガイドにもなっている」と話してい

    る。

     

     「貸し出しデータは作家側から要望があれば公開している。中には「大切に思っていなかっ

    た自著が予想以上に読まれていることに気づいた。データからは読者が求めているものが見え

    てくる」と話す作家もいる」

     

     「英国に公共貸与権が導入されたのは79年。40年代に始まったデンマークやノルウェーなどに

    約30年遅れての開始だった」

     「導入をめぐって、議会や図書館からは反対意見もあった。パーカーさんは「図書館側は、

    公共貸与権の予算が増えることで図書館の書籍購入費が減ることを心配していたが、結果とし

    て図書館の予算には影響がなかった。また、公共貸与権の予算は増え続けていることからも、

    文化振興策として有効であることを議会が認めていることが分かる」と話す」

     

     英国のCILIP(図書館・情報学研究所)のガイ・デインズさんは「公共貸与権を持った

    ことで、貸し出しデータが活用でき、イギリスの図書館が良くなったことは確かだ」と述べて

    いる。

     

     なお、問題点として、デインズさんは、「EUのように、著作権をめぐってあまりに商業主

    義的になっていく動きに対しては戦っていなければならない」と述べている。記事では、「図

    書館で著者への支払いが認められたことは、著者側にそれ以外の権利までも主張される道をひ

    らきかねない、と懸念する声もあがっている」とある。

     

     記事のうち、公共図書館に関する部分は以上です。

     貸出データの効用については、日本の関係文献でも紹介されていたと思います。「日本でも

    導入の議論が始まった」とあるのは、当時、一時的に日本図書館協会の理事が公貸権の必要性

    を認める発言をしたためとと考えられます。

     公貸権においては、作家の貢献に対する配慮が目ざされていると思います。私は、図書館が

    資料費を獲得するには、この観点が必要だと思います。

     全国紙における海外の公共貸与権の紹介記事として大変貴重だと思います。これで、英国と

    ドイツの公貸権の紹介が行われていることになります。