〇 2016年 『読売新聞』 「読書週間世論調査」 の意味するもの

2016.12.08 Thursday

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    ○ 2016年『読売新聞』「読書週間世論調査」の意味するもの

     

                                                                   2016.12. 8 薬袋秀樹

     

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                          に記事一覧が掲載されています。

     

     『読売新聞』では、毎年10月に「読書週間世論調査」を行っています。今年の「読書週間世

    論調査」(『読売新聞』2016年10月24日11面)には、最後に次の質問があります。

     

      「公立図書館が、発売されたばかりの新刊の本を貸し出すことについて、次の2つの意見

       のうち、あなたの考えに近い方を選んでください。

     

       「新刊を買う人が減り、著者や出版社に影響が出る可能性があるので、一定期間貸し出

        さない方がよい                          35」

       「図書館は、無料で資料や情報を提供する役割があるので、すぐに貸し出してもよい 

                                         61」

       「答えない                              4」

     

     記事の本文では、「国民の間では、発売早々から貸し出すことを容認する意見が多い」とあ

    ります。

     この質問について考えてみたいと思います。61%に着目すると、「発売早々から貸し出すこ

    とを容認する意見が多い」ことは確かです。

     ただし、この質問には問題があります。現在、貸出猶予を提案しているのは、エンターテイ

    メント系小説の作家と出版社で、新刊一般ではありません。新刊一般の貸出猶予は、誰も求め

    ていません。

     回答者の相当部分は、最近2年間の新聞やインターネット上での「文芸書」や「エンタメ小

    説」に関する議論をある程度読んで、それらの図書を想定していることが推測できます。しか

    し、学術書・専門書も含む新刊一般と考えている人もいると思われますから、エンターテイメ

    ント系小説や推理小説について聞いたら、貸出猶予に賛成する人はもっと多くなると考えられ

    ます。

     その上で、少数派に着目すると、別の姿が見えてきます。35%の人が、質問にあるように、

    「新刊を買う人が減り、著者や出版社に影響が出る可能性」があるという考えを選んでいます。

    何らかの図書について、新刊を図書館で借りることによって、新刊を買う人が減る可能性があ

    ると考えていることになります。

     これは、公共図書館関係者にとっては、衝撃的な数字だと思います。

     この1年間で図書館を利用した43%の人がどう回答したかによって、このデータの解釈は多

    少変わるかも知れません。この点についてはさらに詳しい分析が必要ですが、このデータを真

    剣に考えるべきです。

     要約すると、約3分の1の国民が、新刊の貸出よりも、作家や出版社の将来を心配している

    ことになります。この間、新聞紙上で、作家・出版関係者に反論する一部の公共図書館関係者

    の発言が掲載されました。

     35%の人はこの意見に納得していないことが考えられます。これは、公共図書館の今後に対

    して重大な影響を及ぼす可能性があります。

     すべての公共図書館関係者は、作家・出版社の声に真摯に耳を傾けるべきです。