課題解決支援サービスとこれまでのサービスの違いは?

2017.04.13 Thursday

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    ○ 課題解決支援サービスとこれまでのサービスの違いは?


                                                                  2017. 4.13  薬袋秀樹
     

     現在の公共図書館では、多かれ少なかれ、課題解決支援サービスなどの地域と結びついたサ

    ービスが行われています。これらのサービスが取り組まれるようになって、図書館は今まで以

    上に利用者の役に立てるようになりました。

     課題解決支援サービスとこれまでのサービスとはどこが異なるのか、「1.利用者にとって」

    「2.図書館職員にとって」の二つの観点から考えてみたいと思います。


    1.利用者にとって


    ・「貸出、予約・リクエスト、レファレンス」は理解されたのでしょうか?

     

      日本の公共図書館では、基本的なサービスとして、「貸出、予約、レファレンス」の三つを

    挙げてきました。「貸出」「予約」は誰でもわかります。専門的なサービスとして「レファレ

    ンス」が挙げられてきましたが、図書館以外ではほんど使わない言葉ですから、説明されない

    限り、わかりませんでした。適切な訳語がなかったので、使われ続けましたが、利用者にあま

    りなじみのないサービスにとどまりました。新聞記事等でも取り上げられることが少なかった

    と思います。
     
    ・専門的なサービスをアピールするにはどうしたらよいでしょうか?

     

      「レファレンス」に代わって、図書館の専門的なサービスの内容をアピールするにはどうし

    たらよいでしょうか。ひとつの方法は、「レファレンス」というサービスの「方法」ではなく、

    提供する資料の「主題」をアピールすることです。
      『これからの図書館像』では、「課題解決支援サービス」の種類として、提供する資料や情

    報の主題が用いられています。「行政」「学校教育」「ビジネス」「子育て」「医療・健康」

    「法務」等です。
     
    ・「主題」を示す用語の長所は何でしょうか?

     

      これらの用語には、三つの長所があります。例えば、「子育て支援コーナー」を設置すると

    します。
      第一に、「子育て」という用語は誰にでもわかり、「子育て」に取り組んでいる人々が注目

    してくれます。
     第二に、これらの人々が、図書館には自分に役立つ資料や情報があるかもしれないと考えて、

    図書館に行ってみようと思うきっかけになります。
     第三に、この用語の「支援」には、本の貸出を受けるだけでなく、図書館や図書館職員から

    それ以外の「支援」が受けられるというイメージがあります。例えば、求める資料が見つから

    ない時に相談できる、専門機関への案内が受けられるなどのイメージです。
     

    2.図書館職員にとって
     
    ・これまでのサービスにはどんな問題があったのでしょうか?
      特定主題に関するサービスはこれまでも提供してきたという意見がありますが、三つの点で
    限界があったと思います。
      第一に、他の主題と同様の扱いで、特に重視していませんでした。
      第二に、選書(図書、雑誌)、リクエスト、レファレンス、行事等の各担当で行うにとどま
    り、各担当が連携したサービスとしての展開は不十分でした。
      第三に、関係する機関や団体との連携はほとんど行われてきませんでした。
     
    ・現在のサービスはどこが新しいのでしょうか?
      これまでのサービスとの違いは次の三点にあります。
      第一に、いくつかの主題を重視して、そのサービスに力を入れています。そこに図書館の姿
    勢が現れ、図書館に対する信頼が生まれます。かつては、すべての主題を同様に扱うという考
    え方がありましたが、今は、一定の主題を重視しています。これには、当然、長所・短所があ
    りますので、定期的に見直す必要があります。
      第二に、選書、リクエスト、レファレンス、講座の各業務を、例えば「子育て」の観点から
    見直し、全体で一貫したサービスを行うよう努めています。これによって、サービスの能率が
    上がり、個々の業務の質も高まります。
      第三に、関係する機関や団体との連携を通じて、専門的な情報や助言を得るとともに、図書
    館に対する評価や要望を聞くことができるようになりました。これらの意見を十分参考にする
    とともに、図書館の方針については、図書館が自主的に判断する必要があります。
     
    ・「主題」の観点からサービスを見直します
     個々の主題の観点から図書館サービスを見直すようになりました。特に、資料の所在が問題
    です。図書館資料は図書と雑誌に分かれます。図書は一般図書と参考図書に分かれ、それぞれ
    NDCで分類されます。例えば、「医療・健康」に関する図書は、分類表の「49 医学」と
    「598 家庭衛生」に分かれるため、資料は5カ所に分散することになります。利用者がすべて
    の資料を一緒に利用できるようにするにはどうしたらよいか、これが課題になりました。
      「医療・健康コーナー」の設置はその解決策のひとつですが、テーマ別の資料マップや文献
    案内(パスファインダー)を作ることも考えられます。このように、運営の考え方や方法を変
    えることによって、図書館は使いやすくなってきたと思います。