【資料】「公共図書館での文芸書の取り扱いについてのお願い」

2017.06.27 Tuesday

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            「公共図書館での文芸書の取り扱いについてのお願い」の掲載について

                                       

                                                   2017年7月27日

                                           薬袋秀樹

     

          2016(平成28)年11月22日付けで、全国公立図書館に送付された「公共図書館での

         文芸書の取り扱いについてのお願い」(日本書籍出版協会文芸書小委員会)は、公共

         図書館における複本制限・貸出猶予の問題を考える上で、大変重要な資料ですが、各

         図書館に送られており、ウェブサイト上では公開されていません。

          そのため、この問題に関心のある人々の理解を得ることができませんので、何らか

         の形で公開されるべきだと考えてきました。そこで、このたび、日本書籍出版協会に
         お願いし、本ブログでの資料としての掲載をご了承いただきました。

          この問題についての理解を深めるためにご活用いただくよう、お願いいたします。

     

     

    【資料】「公共図書館での文芸書の取り扱いについてのお願い」

     

    公共図書館  館長  各位                                                              

                                      平成28年11月22日
             

                      公共図書館での文芸書の取り扱いについてのお願い

                                                     

                                                        一般社団法人 日本書籍出版協会                                                                     文芸書小委員会

                          

        2015年秋、日本書籍出版協会は、全国図書館大会そして図書館総合展の場において、日

    頃お会いすることの少ない図書館の方々に、出版という事業の構造をそれぞれの刊行分野ご

    とに説明し、図書館に望むことを率直に述べる機会を得ました。関係者に篤く御礼申し上げ

    ます。

      文芸書出版に関しては、話題の本で採算を取り、次の多様な出版につなげる流れとなって

    いることを説明。著作者、出版社、書店を支える循環が、昨今の図書館のIT化や分館の増

    加でいかに影響を受けているのかが議論のテーマとなりました。

      来場された図書館関係者からは「本が売れないこと、書店の衰退は、図書館や複本のせい

    ではない」との声が上がる一方、「経済的に余裕のある人は本を買うべき。図書館の役割は

    経済的弱者へも知る権利を保証すること」「ベストセラーの複本には気をつかう。作家・作

    品を守ることも図書館の役目」という声もいただき、出版文化を支える同志として私たちも

    意を強くした次第です。この図書館、出版社間の意見交換は、日本書籍出版協会図書館委員

    会によって『2015年「図書館と出版」を考える 新たな協働に向けて』と題した冊子にまと

    められ、全国の公共図書館に送付されております。

      このように著作者、出版社、書店を支える構造について理解が広がっている一方で、見う

    けられるのは、資料費不足等を理由にした、リクエスト上位の図書の過度の購入や寄贈を呼

    びかける図書館の存在です。全国の自治体で図書館予算が縮減されているなか、人気の文芸

    書新刊を求める利用者の声にもこたえなければならない図書館の皆さまが、苦労されている

    ことは十分承知しています。しかし、一部の文芸書の過度の購入や寄贈本により貸出を増や

    そうという動きには、出版に携わる者の間にも懸念がひろがっています。書店・出版社ばか

    りでなく、著作者も同様、本の販売によって生計を成り立たせています。もはや執筆活動が

    成り立たないと嘆く声が著作者の間であがっているのも事実です。

        10年前に、文部科学省が図書館関係者や有識者の協力を得てまとめた「これからの図書

    館像〜地域を支える情報拠点を目指して〜」では、貸出やリクエストサービスのみを重視せ

    ず、図書館法で掲げられている調査研究への支援やレファレンスサービス、時事情報の提供

    等を行うことが提言されています。今、貸出やリクエストサービスの中心となっているエン

    ターテインメント系の書籍は、多くは本が売れなければ収入がない専業の著作者が生み出し、

    書店や文芸出版社にとっても経営の柱になっているものばかりです。

      昨年の「東京国際ブックフェア」のシンポジウムで、東日本大震災被災地のある図書館長

    は、「文庫本、複本は原則として購入しない。寄贈も求めない。」とし、「地元の書店に影響

    を与えたくないから、予約の順番を待てない方は書店で本を買ってもらいたいのです。図書

    館の本も地元の書店で買います」と発言され、出版界から共感を集めました。各公共図書館

    を運営する皆さまにおかれましては、出版界からの声と住民の要望とのバランスに配慮され、

    文芸書・文庫本の購入や寄贈に、格段のご配慮をいただき、出版文化の継続発展にご助力い

    ただきますようお願い申し上げます。                     以 上