「望ましい基準」の要点(1)「望ましい基準」は必要だったのか?

2016.12.06 Tuesday

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    「望ましい基準」の要点(1)「望ましい基準」は必要だったのか?

     

                                                           2017.10.11 薬袋秀樹

     

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     望ましい基準の研究を始めて、今年で 5年になります。恐らく、多くの図書館職員

    の皆さんは「望ましい基準」の必要性をあまり感じていないと思います。なぜなら、

    数値目標も示していませんし、強制力もないからです。「望ましい基準」を研究して

    何になるのかと考える人もいると思います。

     しかし、ものごとには歴史があります。「望ましい基準」の持つ意味は、時代によ

    って変わっています。1945年の終戦以来、約70年が経っています。前半は、人口の増

    加期、行政の拡張期、予算の増大期でした。後半は、人口の減少期、行政の縮小期、

    予算の減少期です。

     「望ましい基準」は、行政の拡張期に大きな力を発揮します。この時期には、どの

    部門も予算が増えますので、力の弱い部門でも予算を獲得しやすいのです。この時期

    には、審議会の答申が出れば、予算が取れたと言われています。また、「望ましい基

    準(案)」にも数値目標が含まれていました。

     ところが、公共図書館分野では、残念ながら、予算が増えた1950年代〜1970年代に

    は「望ましい基準」は制定されず、行政改革と規制緩和が進んだ1990年代になって、

    ようやく行政改革に対する防衛策として局長通知が発出されました。他の部門で、行

    政が拡張し、予算が増えた時期には「望ましい基準」が制定されなかったのです。

     なぜ、図書館法制定以後40年間も「望ましい基準」が制定されなかったのでしょう

    か。一部の人々は、文部省が放置したと言っています。

     果たして、そうでしょうか。1960年代、1970年代の 2回、社会教育審議会の委員会

    で基準案が検討されています。なぜ、これが実現しなかったのでしょうか。

     私が調査したところでは、「望ましい基準」の制定には、文部省と大蔵省(現財務

    省)、自治省(現総務省)との協議が必要で、この 2つの省の了解が必要になります。

      1960年代には大蔵省の了解が得られなかったと言われています。1970年代には、そ

    れ以前に、文部省の社会教育審議会で全面的な了解が得られませんでした。いずれも、

    数値目標が高すぎたためです。

     公共図書館の理想を追求し、高い数値目標を求めたことが、結果として、「望まし

    い基準」の制定を妨げたことになります。行政の拡張期には、それほど高い数値では

    なくても、「望ましい基準」を定めること自体が、その部門を発展させることになり

    ますが、そのことが理解されていなかったのです。

     このことは、「望ましい基準」の数値目標等について発言する一部の図書館職員の

    意識と、大蔵省等の他省庁、国会をはじめとする社会全体の理解との間に大きなギャ

    ップがあったことを示しています。また、日本の公共図書館関係者は、「望ましい基

    準」というものの性格を十分理解していなかったのではないかと思われます。

     公共図書館関係者は、自らの思いや願いを語る前に、公共図書館と司書に対する社

    会の一般的な認識と評価を客観的に把握すること、行政のメカニズムを理解すること

    から始めるべきだと思います。

     行政の縮小期における役割については(2)で述べます。


     

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    2017.10.17 Tuesday

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