司書の必要性を主張するための戦略

2017.05.16 Tuesday

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    〇 司書の必要性を主張するための戦略

     

     

                                                            2017.5.16 薬袋秀樹

     

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                             に記事一覧が掲載されています。

     

      図書館職員については、25年以上前の1990年代の初めから、私なりに専門職制度を

    構築する戦略を考えていました。

     司書職制度のある自治体の司書が、専門的なサービスに力を入れて、職員の資格の

    違いがサービスの違いに現れるようにしようと考えました。

     専門的なサービスというと、一部の大学教員は、レファレンスサービスや地域資料

    の提供を挙げることが多いのですが、私はそれは選びませんでした。利用がそれほど

    多くなく、サービスにかなりの知識と技術が必要だからです。 

     そこで、『市民の図書館』(1970)における「貸出部門のレファレンスサービス」
    に注目しました。これは、貸出カウンターの横にレファレンスデスクを置いて、利用

    者の求める「資料に関する質問」を受け、丁寧に応対しようという考え方です。(な

    お、『市民の図書館』では、「読書案内」というわかりにくい用語が用いられていま

    す。)

     当時は、なぜか、貸出手続きや配架作業の中で相談に答えればよいと考えられてい

    ましたが、相談カウンターがないと、忙しそうに見えて、質問しにくいですし、時間

    をかけて対応することができません。外部の人からは、正規職員の司書は貸出手続き

    をしているだけではないかと見られてしまいます。

     司書職制度のない図書館では、司書と事務職が混在していて、通常の図書館運営で

    手一杯で、「貸出サービスのためのレファレンスデスク」を設けることは難しいので

    す。司書職制度のある図書館の方が取り組みやすいのです。ここで差が出ると考えま

    した。

     1994年に『図書館雑誌』に掲載されました。かなりの反響と影響がありました。
     

     ・「読書案内サービスの必要性−利用者の質問・相談・リクエストを受けとめるために

       (前編)<公共図書館改革の提言・1>」『図書館雑誌』88(6), 1994.6, p.401-405.
       (http://hdl.handle.net/2241/102287

     ・「読書案内サービスの必要性−利用者の質問・相談・リクエストを受けとめるために

        (後編)<公共図書館改革の提言・1>」『図書館雑誌』88(7), 1994.7, p.477-481.
        (http://hdl.handle.net/2241/102288

      ・「読書案内サービスはなぜ必要か−貸出カウンター,委託,自治体行政とのかかわり

          をめぐって」『現代の図書館』34(1),1996.3, p.32-39.
        (http://hdl.handle.net/2241/102290

     

     ところが、この提案には、一部の司書や司書OBから反対が起きました。当時の雑

    誌を見てもらえば、わかります。(例えば、「「特集/資料提供の最前線ー論争・“カウン

    ター周辺学”」『みんなの図書館』226,1996.2,p.1-55.などがあります。

      なぜか、「相談カウンターがなくても対応できる」「貸出の中だから質問がある」

    というような意見でした。

     しかし、それには、貸出カウンターの職員が全員経験のある司書である必要があり

    ます。また、司書のいる図書館といない図書館の違いがわかりません。この提案に対

    する賛否については、いずれ論じたいと思います。

      私が考えていたのは、<どうすれば、正規職員の司書が必要だと理解してもらえる

    のか>、あるいは、<図書館職員に経験の蓄積が必要だと理解してもらえるのか>、

    その「戦略」を考えることが必要だということです。

     まじめに、コツコツとよいサービスをするだけでは足りないのです。

      <正規職員の司書のいる図書館といない図書館で違いがあること>、<それが利用

    者や行政関係者にすぐわかるようにすること>が必要です。そうすれば、司書の正規

    職員が必要だという認識が徐々に広がっていくだろうと思います。

      極端に言えば、サービスの種類は何でもよいのです。ただ、多くの利用者が利用す

    るもので、利用者が重要だと思うサービスであることが必要です。

      司書が、図書館が、図書館関係の団体が、<正規職員の司書のいる図書館はここが

    違います>と積極的に言える必要があります。そのためには、図書館サービスの評価

    基準が必要になりますし、『図書館白書』のような広報手段も必要になります。

      司書採用が行われている図書館で、このようなモデルが実現されれば、行われてな

    い図書館では、そのうちのAはできているが、Bはできていないという形で現状を示

    し、条件が整備されれば、Bができると主張することができます。このような形で、

    正規職員の司書のいる図書館は他の図書館の目標になります。

      このような発想が、これまで欠けていたのではないでしょうか。

     

     

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    2017.10.17 Tuesday

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      • 2017/05/19 4:08 PM
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