公共図書館の評価基準が必要です

2017.05.10 Wednesday

0

    公共図書館の評価基準が必要です

     

                                2017.5.10 薬袋秀樹

     

                                【記事一覧の見方】

                この記事の題名の上にある Entry  をクリックすると、新しい記事 5点のリストを見ることができ

                          ます。新しい順に並んでいます。画面右下の other の下の  RSS1.0 をクリックすると、記事一覧

                          を見ることができます。上から新しい順に全記事が並んでいます。一番上の記事が最新の記事です。

                                    それ以前の初期の記事は「図書館の基礎知識:ブログ 目次」 (http://toshokanron.jugem.jp/?eid=65)

                                    に記事一覧が掲載されています。

     

    1.公共図書館の評価基準が必要です

     

      指定管理者制度や個々の指定管理の図書館を批判する意見があります。これは、図

    書館のあるべき姿を明らかにし、図書館を適切な方向へ導く上で、大変貴重で重要な

    取り組みです。しかし、その根本となる「評価基準」はあるのでしょうか。

      現在の日本の公共図書館の最大の弱点は、「公共図書館で共通して用いることがで

    きる評価基準」がないことだと思います。このため、利用者やマスコミ関係者等の外

    部の人が評価する手段がなく、図書館間の比較ができません。基本は自己評価ですか

    ら、どの図書館もそれなりに評価されています。

      図書館サービスの質・多様性・継続性を評価する、共通して利用できる「評価基準」

    があれば、それが公開されていれば、利用者による評価によって、質の低い図書館は

    自ずと明らかになり、徐々に淘汰されていくはずです。最も必要なツールが作られて

    いないのではないでしょうか。

      2003年に指定管理者制度が導入された時、図書館サービスの質・多様性・継続性を

    評価する、共通して利用できる「評価基準」が必要であることは明らかでした。当然、

    2年程度の間にそのような「評価基準」が作成されるものと考えていました。それか

    ら約15年が経ちました。

     残念ながら、『これからの図書館像』でも、図書館評価の解説はきわめて初歩的な

    内容にとどまっています。その点で筆者にも責任はあります。現在、筆者は、このブ

    ログで、「評価基準」の基礎となる「公共図書館の目的」を明らかにし、体系化する

    作業に取り組んでいます。

     

    2.大学評価から学ぶ

     

     社会の様々な分野で評価が行われています。筆者も大学評価を担当しました。当然、

    「評価基準」が整備されています。たとえば、「授業評価のアンケート調査は全科目

    で行われているか」「評価結果は教員にフィードバックされているか」「教員はその

    結果に対して改善策を示しているか」です。実に明快です。

     各教員当たり1科目のみの評価を行っている大学、アンケート調査結果を教員に配

    布し、ウェブサイトで公開しているが、教員に改善策の提出を求めていない大学があ

    りました。これでは授業評価の趣旨が活かされません。大変な労力をかけてアンケー

    トを実施しても、教員がそれを解釈し、改善策を考えなければ、活かされません。改

    善策の提出を求める必要があります。

     これらの評価基準は、組織的に検討され、多くの教員の眼でチェックされており、

    教員として納得できるものです。

     

    3.評価基準とは?

     

     このように、様々な分野で評価が行われていますが、筆者の知る限りでは、一般に、

    数項目の領域や次元から成り立っていると思います。大学では、入試、教育、研究、

    社会貢献、管理などです。自動車では、安全性、操縦性、乗り心地、速度、積載量、

    経済性等があります。

     図書館では、これまで、評価基準として、もっぱら貸出冊数が用いられてきました。

    貸出冊数が少なくてよいとは思いません。貸出冊数はいくつかの評価基準のうちの一

    つであるべきだと思います。しかし、まず、数項目の領域や次元を基本とする考え方

    を確立することが必要です。

     大学評価の経験から感じたことは、「評価は実務である」ということです。図書館

    の分野では、評価について、議論が先行しているのではないでしょうか。「だいたい

    使える評価基準」があればよいのです。それを作る方法も誰でもわかると思います。

     

    4.2年間で「だいたい使える評価基準」を作ろう!

     

     「だいたい使える評価基準」を作ることが「公共図書館の当面する最大の課題」だ

    と思います。そのためには、他の課題への取り組みや様々な研修を一時中止してでも

    (!)、それに全力を投入するべきです。公共図書館における「選択と集中」はここ

    にあると思います。

     2年間で「だいたい使える評価基準」を作ることをある図書館関係団体に提案しま

    したが、実現しませんでした。これは個人では困難で、組織による取り組みが必要で

    す。なお、評価基準は複数あって構わないと思います。公開されれば、自然に淘汰さ

    れていくと思います。

     もうひとつ重要なことは、「2年間で必ず作る」「作ったら、必ず使ってみる」と

    いうことです。そのためには、理想を追求せずに、「だいたい使える」ことをめざす

    ことが重要です。

     指定管理者制度や個々の指定管理の図書館を評価する記事では、何らかの形で評価

    基準を示していますので、それをより明確に示すとともに、用いられている評価基準

    を抽出して整理すれば、徐々に評価基準がまとまります。つまり、評価を進めながら、

    評価基準を作ることができます。

     

    5.なぜ、これまでなかったのか?

     

     さかのぼれば、司書の採用を求めるためには、司書職制度がある図書館とない図書

    館の運営やサービスを比較する必要がありました。そのためには、図書館サービスの

    質・多様性・継続性を評価する、共通して利用できる「評価基準」が必要だったので

    す。なぜ、「評価基準」が活用されてこなかったのか、それも考える必要があります。

     

    スポンサーサイト

    2017.05.16 Tuesday

    0
      コメント
      コメントする