1990年代の公共図書館

2017.06.22 Thursday

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    ○1990年代の公共図書館

     

                                2017.6.22 薬袋秀樹

                       

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      公共図書館に関する最近の議論を見て、ひとつの疑問を感じました。それは、1990

    年代の歴史があまり知られていないように思えることです。今、公共図書館に起きて

    いることには、それなりの経過があります。時代の流れを把握することが重要です。

    そこで、1990年代の公共図書館を振り返ってみたいと思います。

      1990年代の公共図書館には二つの考え方がありました。資料の水準を保ちつつ、レ

    ファレンスサービスや専門的な資料の提供を重視する考え方と、利用者の「読みたい

    という気持ち」を大事にして、従来よりもソフトな資料も収集して貸出を増やす考え

    方です。

      後者の利用者の「読みたいという気持ち」を大事にして、従来よりもソフトな資料

    も収集して貸出を増やす考え方は、一部の大都市を中心にある程度普及しました。私

    は、これを「90年代選書論」と呼んでいます。ただし、多額の資料費が必要なので、す

    べての図書館に普及したわけではありません。

      1990年代だったと思いますが、関西のある公共図書館職員から、「これまでは公共

    図書館が購入しなかった種類の本が購入できるようになって、利用者が増えて、喜ん

    でいる」という意見を聞きました。これは、ソフトな方向へ資料の範囲が広がったと

    いう意味です。

      どのような考え方にもそれぞれ良い点があり、尊重されるべきだと思います。「読

    みたいという気持ち」を大事にすることも重要です。必要なのは、多様な考え方の間

    でバランスを取ることです。

      1980年代には、図書館資料の質を重視する意見がもう少し強かったと思います。浦

    安市立図書館の初代館長の故竹内紀吉氏がその代表でした。

      その後、図書館予算の減少等の変化があったため、図書館の在り方が見直されて、

    1990年代末から現場の図書館職員や管理職によってビジネス支援や行政支援が取り組

    まれました。

     2006年には、これからの図書館の在り方検討協力者会議「これからの図書館像」が

    発表され、課題解決支援サービスが提案されました。『これからの図書館像』は、

    1990年代に公共図書館の資料がソフト化した点を是正する役割を果たしてきたと思い

    ます。

     不思議なことに、ソフトな資料も収集して貸出を増やすことを提唱する文献は、

    2004年以後、ほとんど見られなくなりました。そのため、そのような議論があったこ

    とが知られていないように感じます。

     この結果、現在の公共図書館の資料は、1990年代ほどソフトではないと思いますが、

    図書館によっては、1990年代の影響が残っていると思います。この点は、1990年代に

    出版された図書や雑誌記事を見ると、よくわかると思います。